第三十一話 労働

働きに行くのが好きです。



こう言えるのはバイト先に恵まれてるからなんですよね。それは重々承知してますし、働きに行くこと自体が好きというよりはあそこに行くのが好きなんだろうなあという感じです。でもまあ好きですね。


まず働きに行くと頭が空っぽにできます。正確に言うと、普段暇な時に考えてしまうようなどうでもいいことで脳みそが溶けていくような感覚から離れられます。これは大事なことです。常時大変なことを考えている人には「時々は頭を空にしないとダメだよ」なんて言いますが、いつも暇だと似たようなことばかり考えて頭が重くなってくるんですね。その点、仕事先で頭を使うと逆に頭を空っぽにできるわけです。普段の思考を追い出せるというか。めちゃくちゃ鬱な感じになってても働きに行くと案外回復するのはこの点が大きいでしょう。


次に小学生たちが面白いということです。私は中学受験をしたので、出身の塾で小学生たちを教えているのですが、小学生というのは本当に訳の分からない生き物です。それは頭の良い子もそうでもない子もみんな同じです。突飛なことを言ってふざけてみたり、ものすごく賢い子なのに大人なら当たり前に知っていることを(社会経験の無さにより)知らなかったり、とにかく小学生たちはあらゆる意味で想像の斜め上を常に行きます。同じように授業をしているだけなのですが毎回毎回全く飽きるということがありません。いつでも何かしら面白いことが起きるんですね。その子たちと何やかんや言いながら授業をするのが楽しいわけです。もちろん大変なことになることもありますが。


最後にお金がもらえるということです。私は基本的な金銭感覚が月4000円でやりくりしていた高校生の頃と変わっていないので、1回働きに行くだけで10000円とか入ってくるバイトというのはとんでもないものです。洋服やバッグに興味がなくてよかったなあと思っています。働きながら(今日これで○○円くらいかあ……ひひひ……)なんて思うのはとても楽しいものです。別に一応ちゃんと働いてるわけだしそのくらいはいいよね。


行く前は嫌だなーと思うこともありますが、行けば楽しいのが今のバイトです。仲間たちは優しい人ばっかりだしいいところで働けてよかったなあ。体力がないのでそんなに詰めては働けませんが、逆にこれも運動と思って嫌にならない程度に頑張っていきたいものです。



それではまた。