第二十五話 病気の状態

病気の状態が好きです。

 

 

自分は基本的に病気をしない人間なので、持病がある方や重い病気と闘ってらっしゃる方からしたら腹立つこと極まりない記事でしょう。しかし私は病気の状態が好きです。

 

中高の頃に嫌なことがあって以来、私はどことなく体調が悪いことがかなり多いです。ただただだるくてソファーから起き上がる気になれない、とか、(最近は前より減りましたが)気分がとにかく落ち込んで何もできなくなる、とか、まあそんなところです。しかし具体的に腹が痛いの頭が痛いのということではないので、具体的にどこが悪いのか聞かれると「何となくやる気が出ない」としか言いようがないわけです。当然病院にも行けません。こうなると同情の余地が薄いですね。それで授業中に爆睡したり一日中ソファーの上にいたりして白い目で見られてきたわけです。

 

病気の状態というのはそれとは違います。正直、インフルエンザで熱を出して寝ているくらいならメンタルやられてる時より余程ましです。体調不良のせいでメンタルをやることもありますが、体調不良の原因がはっきりしていた方がメンタルはやりづらい気がします。しかも寝ていることに免罪符がつきます。何なら普段あまり優しさを前面に出さない母親が気遣っておいしそうなものを買ってきてくれます。心が元気なら病気なのも結構良いものです。

 

こう書くとかなり後ろ向きな理由のようにも読めますが、さくらももこさんだって『ちびまる子ちゃん』の中で「朝起きて熱があるから学校を休むって時は楽しい気持ちになっちゃって寝ているどころではない」というようなことを書いてらっしゃいました。「学校を休む」というのは理由が何であれ万人にとってのスペシャルイベントなわけです。熱があれば誰にも責められないし。誰からでも同情される立場である「病気の人」に憧れる心理というのもそれに近いものがあるのではないでしょうか。心身ともに疲れ切った時、「ああ、なんか重病が発覚して入院することになってみんなにお見舞いに来てもらえないかなあ」と思ったこと、皆さんにはありませんか? ないかなあ。

 

 

それではまた。