第七話 ラーメン

ラーメンが好きです。

 

 

食べ物の好みについて語る時、私はよく「子どもが好きそうなものは何でも好きです」と言います。ラーメンも子どもの好きそうなものです。自分も小さい時から好きだったし。

 

ラーメンにも色々ありますが、大まかには「スープが何味か」と「麺が太麺か細麺か」がラーメンの個性を決定づけていると言えるでしょう。自分は醤油味の太麺が好きです。ある意味王道なのではないでしょうか。醤油味が好きなのは単にラーメンに限らず醤油味が好きだということと、他の味があまり好きではないことが理由でしょうか。塩は醤油の次に好きですが、醤油の方がパンチが効いていて好きです。味噌はそもそも味噌味がそこまで好きではないのと家でよく出てくる味だったので特別感が薄いのとで外では頼みません。豚骨は独特の香りが少し苦手です。あと某九州系有名豚骨ラーメンチェーン店に初めて行った時にお腹を壊してしまい、それ以来やや苦手意識があります。麺に関しては太麺一択です。太麺の方が食べた感じがするし、麺が縮れていた方がスープが絡んで濃い味になります。結局味の濃いものが好きなだけなんじゃないだろうか。こってり脂系のスープかあっさりスープかは気分です。具に関しては煮卵や海苔やワンタンが好きです。海苔はスープでひたひたになったのが好き。ワンタンはワンタンメンを頼まないと普通はついていませんが、もちもちしていて肉の味もして大好きです。醤油ワンタンメンがメニューにあったら確実に検討しちゃいますね。

 

外食するとなったらラーメンは有力候補、しかし実家住みの学生という身分もあってそんなに頻繁には食べない、言わばラーメンの「マイルドファン」たる私ですが、そんな私が最近気に入らないのがラーメンの玄人志向です。色々なラーメンがあってしかるべきだとは思いますが、最近のラーメン界では「重度のラーメンオタク」が幅を利かせすぎていると思うのです。週何回もラーメンを食べに行くようなラーメンオタクが。その流れを牽引しているのが二郎系ラーメンの台頭です。二郎系ラーメン店では私の苦手な豚骨ラーメンが主流のようですが、それでもラーメンが好きである限り最近のこの流れには乗ってみたい気がします。もしかしたら自分の中の豚骨ラーメンの常識を変えてくれるかもしれません。それに私は女性ですが、かなりの量を食べることに定評があり、どうやらそこらの男子よりもたくさん食べるようなので、調子に乗ったサイズを注文しなければ食べきれないこともないでしょう。そうまで思っているのに大いなる壁となっているのが独特の「二郎文化」です。大学の近所に著名な二郎インスパイア系と呼ばれるラーメン店があるのでそこの常連客のブログを読んだのですが、「『ニンニク入れますか?』という質問に対して『はい/いいえ』で答えてはいけない。質問の意味は『トッピング各種をそれぞれどのくらい入れてほしいですか?』なので、各種についてそれぞれ希望の分量を言わなければならない」だそうです。何じゃそりゃ。「入れますか?」って聞かれたらはいかいいえでしょうが。この世の中の流れの中ラーメン食レポブログなんて山のようにありますが、ラーメンがテーブル(とかカウンター)にやってくることを「着丼」って言ってみたり、とにかくラーメン界はカルト的人気を誇る二郎系ラーメンの流行とともに独自の閉鎖的文化を生み出しています。

 

自分はラーメンが好きなのでラーメンを馬鹿にする気持ちなど当然微塵もないのですが、ラーメンなんて所詮庶民の食べ物なわけです。1杯500円から1000円くらいで食べられてお腹がいっぱいになる、そんなみんなの味方なわけです。二郎系ラーメンだってサイズを変えなければ1杯1000円を超えるようなものは滅多にないでしょうし、そもそも二郎系は量が多いことが売りの1つですから、値段がそれほどでもないならある意味他のラーメンよりもさらに庶民派だとも言えます。そんなラーメン店に「入るのが怖い」という意見があちこちで見られるのはどういうことでしょうか。びびって入らない人がいるだけではなく、実際に独特の注文方法にあわあわして後ろの客から睨まれたなんて報告もあるわけです。二郎系店を目指す初心者向けのネット記事を読んだらまとめの部分に「ルールとマナーを守れば二郎系ラーメン店も怖くありません!」みたいなことが書いてありましたが、ルールとマナーを守らなきゃいけないラーメン屋って何だよ。綺麗に食べるとか店員さんには優しくするとかそういう最低限のこと以外で独特の文化を一般客に押し付けてきているところはネット文化の嫌われがちなところと似通っている気がします。あの不健康そうな見た目とも相まって根暗デブオタクの食べ物みたいなイメージがついて他の人からは敬遠され、そして常連客たちはその特殊文化に内輪ネタのようなものを感じて勝手に盛り上がるという構図が出来上がりつつあるのではないでしょうか。たかがラーメン屋にそのような排他的文化が成立していること自体が馬鹿馬鹿しいのです。独自のルールやらマナーやらを構築してそれを守ることを要求されるのなんて京都の一見さんお断りの料理屋くらいのクラスからで良いのです。一見さんお断りの料理屋はふらっと新規客が入ってくる心配がありませんからそういう人に不愉快な思いをさせることがない分圧倒的に悪質性が低いと言えるでしょう。暗黙のルールによって守られるべき格式というものも備わっていますし。1杯800円くらい(なのか?)のラーメンを出す小汚い店とは全く事情が違います。「店が客を選ぶ」こと自体が悪いとは思いませんが、一般的なマナーとか客層とかではなく独自の文化でもって客を(実質)締め出すというのはかなり独特だと思います。単価が高いわけでもないラーメン店でそのスタイルをとって果たして先々まで生き残れるのでしょうか。

 

何だかラーメン語りというよりは二郎アンチのお気持ち表明になってしまった。まあここには「なんか流行ってるラーメン屋があるのに変な文化が怖くて行けない」という私の恨みも半分以上こもっています。謎文化のことを馬鹿馬鹿しいと思ってるのは本当ですが、一度行ってみる勇気を出すべきなのかもしれません。行ってみたら案外店員さんも周りの客も怖くなくてラーメンも美味しかった、なんてことになれば評価は変わってしまうでしょう。こんなのも結局主観と偏見の塊だってことですね。まあブログなんてそんなもんか。

 

 

それではまた。