第十話 関西

関西が好きです。

 

 

「関西」と言った時、どこからどこまでを指すのかという問題が発生します。パッと思い浮かぶのは大阪、という人が多いでしょう。しかし、日本を東と西に分けるとすれば中国・四国や九州までも関西なのかもしれません。しかし、ここらへんは「関東/関西」と「東日本/西日本」で使い分けられているといえるでしょう。つまり、「関西」と言えば主に近畿地方を指すし、「西日本」と言えば中国や四国や九州も入るということです。日本語って難しいですね。

 

というわけで、私が好きなのは大阪や京都のあたりです。なぜ好きなのかは大まかに2つに分けて説明できるでしょう。

 

まず大阪です。これは私の気質が大きく関係していると思われます。つまり、私が人と喋るのが大好きなのに人見知りするという奇妙な性格を抱えているということです。初対面の人に話しかけるなんて恐ろしくてできないのですが、色んな人と仲良くしたいし、人に話しかけられるのは大好きだし、仲良くなった人とは勢いよく喋ります。しかも人の感情を読むのが苦手で、無口な人や何を考えているのか分からない人がとても苦手です。陰キャだなあ。そういうわけで、声がでかくて、何でも思ったことをすぐ言って、コミュ力が高くて、陽気で明るい、そういう典型的大阪人が大好きなのです。大阪の人はすぐ知らない人に話しかけます。特におばちゃん。「大阪のおばちゃんはアメちゃんをくれる」とよくテンプレのように言われますが、あれはテンプレでも何でもなく事実です。小さい頃親に連れられて大坂城の近くを歩いていたら本当に通りがかりのおばちゃんが突然アメをくれました。特濃ミルクのアメだった。大阪の人は親切な人が多いと思います。ただ気に入らないことも比較的ズバズバ言う傾向にあるので、怖い人は怖いのかもしれません。それでも大阪にいるのは明るくて楽しくて居心地が良いです。電車の中やバスの中では大阪弁が勢いよく飛び交っています。行ったことのない人にはイメージしづらいと思いますが、東京と大阪では電車の中の音量が全く違います。全く違うのです。これは個人の感想ではなく、大阪出身の人が「東京の人は電車の中で静かすぎる!」と驚いていました。大阪人は電車の中でうるさい。喋ってることも大体陽気です。これも明るい気持ちを盛り立ててくれます。とにかく大阪人は声がでかくて面白くてお節介で開けっ広げなのです。

 

大阪とは全く違う文化圏を構成しているのが京都です。あんなに近いのに雰囲気が全く違うあたり、近畿は歴史のあるところだなあと思ってしまいます。京都が好きなのはひとえに私が和の文化を愛しているからです。京都は千年の都ですが、同時に日本一の観光地でもあります。どこまで行っても雅な空気が漂っているのです。あれほど大きな街が街全体で観光地になっているところはそうないでしょう。京都のすごいところは、有名な寺の近くというわけでなかったとしても、街中にあまりにも色々な史跡が散らばっているので、どこをどう歩いても何となく歴史を感じられるというところです。そこはかとない趣がそこら中に満ち満ちているので、そこに思いついたようにおしゃれな和菓子屋がぽつんとあればそれはもう観光地です。これはすごいことです。大体の観光地は何か見所があって、それを中心に周りが栄えていっているのであって、その街のほとんどのエリアはどこにでもある住宅地や商業地だったりするのですが、京都はどこまでも雅なのです。あえて言うなら数年前に行ったローマに雰囲気が近いかもしれません。びっくりするような古いものとそこの人が当たり前に同居している感じ。文章がとっ散らかってるなあ。京都がどうしてこんなに好きなのかを言葉で説明するのは不可能なのかもしれません。私が旅行先に重視するのが珍しいものとか面白いものとかではなく「空気感」なのも大きいのでしょうか。

 

昨日書いた阪神タイガースに絡めて書けば、阪神タイガースは大阪にファンの多いチームですから、関東の球場であってもタイガース側の応援席は大阪の飛地という感じになります。関西出身の人はどこにでもたくさんいますから、応援席ではもう関西弁の方が多く聞こえてくることになるのです。これは不思議な感覚です。しかし、やっぱり大阪の人はお節介で優しいので、この間観戦に行った時には隣のおじさんが「リュックを下に置くと誰かがこぼしたビールで汚れることがあるから」と言いながら唐突に私にリュックが入る特大のビニール袋をくれました。その後もサラダおかきをくれたり、ゴミ袋をくれたり、とにかく親切にしてくれました。サラダおかきに関しては周り中の人に配ってました。その妙に庶民的な雰囲気と何の下心もない親切心、これこそが大阪人の魂と言えるでしょう。関東の人は余程困ってそうだなどの事情がなければ知らない人に声をかけたりしないものです。野球観戦の一番古い記憶はとても小さい頃に球場の最寄り駅で父がトイレに行っているのをユニフォームを着た状態でトイレの前で1人で待っていた時に同じくタイガースのユニフォームを着た知らないおじちゃんに突然「よっ、2代目! 頑張れよ!」という言葉とともに肩を叩かれたというものです。この思い出は、私の大阪人へのイメージ、それからタイガースファンというものへのイメージを深いところで形成しています。何となく懐かしくて居心地が良いもの、それが私にとっての大阪でありタイガースの応援スタンドなのです。

 

昨日に続いて関西関係のネタなのでますます遠征が恋しくなりました。早く行きたいなあ。

 

 

それではまた。