第二十九話 犬

犬が好きです。

 

 

「犬派?猫派?」という質問は初対面の相手にも飛ばせるかなり汎用性の高い質問ということになっていますが、自分は幼少期から一貫して犬派です。理由は犬が好きだからと猫が嫌いだからです。

 

犬が好きなのは何といっても愛らしいからです。犬も猫もあひるも小さいうちは何でも可愛らしいのですが、大体大きくなるとふてぶてしくなります。そこにきて犬というのは何歳になっても愛らしいものです。しかも愛嬌抜群です。嬉しいと尻尾を振る、ついてくる、足をなめるなど分かりやすさ満点なのもありがたい。基本的に生き物が苦手(会話が通じないから)なので、犬は何を考えているのか分かりやすくて好きです。お利口さんでしつけが効くのも良いですね。猫なんかもきっと利口なんでしょうが、しつけ云々という話はあまり聞きません。猫というのは自由な生き物なんでしょう。犬は人間に単独で飼われていても家族内での順位を勝手に決めていると言いますし、統率のとれた群れの中で生きる生き物のようです。最初に扱いをミスらなければあとは扱いやすいわけですね。素敵。触り心地も良いし。

 

猫が嫌いなのは大まかに理由が2つあります。1つは年長の時に引っ越してきた今の家の周りに野良猫がやたらと多くて、小さい頃から庭への落とし物に悩まされてきたからです。親が「また猫にやられた!」と騒いでいるのを聞いていれば猫が嫌いになるのも無理はないでしょう。車に肉球の跡がついていることもあります。可愛らしいようですが実際のところ泥なのでまあ迷惑です。もう1つは中高の頃苦手だった人たちが揃いも揃って猫好きだったからです。猫好きにもいい人はたくさんいるんでしょうが、猫推しの強い猫好きって性格の悪い人が多いような気がします。気のせいかなあ。とにかく、猫は嫌いだと言っているのに飼っている猫の写真を無理やり見せてきた同期とことあるごとに猫の話をし猫グッズを持ち歩いていた性格のキツい音楽教師のトラウマで猫が余計に嫌いになりました。それまでは野良猫を見ると嫌な気持ちになる、という程度だったのが、猫のイラストが書いてある手帳とかまでダメになったわけです。概念としての猫まで嫌いになったわけですね。昨今の猫ブームの中これはキツいです。そういえば猫は時々ブームが来るけど犬はブームになりませんね。なぜなんでしょう。

 

そんなこんなで強硬な犬派たる私ですが、結局生き物が苦手なので遠巻きに見るだけです。いくら愛嬌でやってても尻尾振りながら突進されたりしたら怖い。もう1つの問題としては、最近人からよく猫っぽいと言われます。確かに気分屋で適当だけどさあ。嫌いな生き物に似てると言われるのも考えものです。あるいは似てるから嫌い、なんてこともあるのでしょうか。

 

 

それではまた。