第三十五話 ドラえもん

ドラえもんが好きです。



ようやく書く書く詐欺を終わらせられる。


自分のドラえもん好きがいつから始まったのかは分かりませんが、ひとつ大きかったのは地元の図書館でしょう。子ども用のコーナーにはいつも大量の「ドラえもんの学習シリーズ」が置いてありました。図書館に行くたびに上限まで本を借りることになっていた私はそこらへんの本を(貴重な漫画として)読みあさったわけです。漫画本にも「勉強になるドラえもん」と「面白いだけのドラえもん」の2種類があることは認識していましたが、大きな勘違いとして私は「勉強になるドラえもん」の方が正統なドラえもんだと思っていました。普通のドラえもんが児童図書コーナーに置いていなかったことによる悲劇といえるでしょう。


ドラえもんはとても愛らしいキャラクターです。まずロボットのくせに「〜えもん」とかいう古い名前なのが可愛い。形もころころしているし、時々(というかしょっちゅう)ドジを踏むところも可愛いです。私の家にはコミックスのドラえもんは1冊もありませんが、『ドラえもん深読みガイド』という玄人向け(?)のファンブックがあります。これを穴が開くほど熱心に読んだので、どの秘密道具がどんな話で使われたかについてはかなり詳しい自信があります。コミックス全巻持ってたらもっと詳しくなれるんでしょうね。深読みガイドは各話に出てくる設定をテーマごとに集約しているものなので、1話の全体像を掴むには時々向いていません。いつかはコミックスが欲しいものです。とてつもなく場所取りそうだけど。


私が小学生の頃は「ドラえもんは子どものものだ」というような風潮がまだあった気がしますが、最近ドラえもんはまた流行っているのではないでしょうか。大人がドラえもんグッズを持っているところを普通に見ますし、この間の関西遠征ではドラえもんの催事が大人たちで賑わっていました。というか、子ども向けだったコンテンツ全体が大人たちにターゲットを広げて(移して)きている気がします。仮面ライダーとかプリキュアとかセーラームーンとかが大人向けのものとコラボしたり大人を映画館に呼び込もうとしたりしているわけです。プリキュアは映画で「オールスターズ」などと称して昔のプリキュアたちを登場させていますし、セーラームーンはメイク用品とコラボします。ドラえもんで言えば「STAND BY ME ドラえもん」シリーズは明らかに大人をターゲットにしたものでしょう。やっぱり少子化の時代、今現在の子どもたちだけを相手に商売をしていても限界があるということなのでしょうか。「かつて子どもだった人たちへ」なんてキャッチフレーズが最近よく聞かれます。ドラえもんを大人が持っててもおかしくない風潮自体はありがたいのですが、純粋に子ども向けだったはずのものが子どもから手を離して大人の郷愁に訴えかけているというのはジャンル自体の斜陽を感じざるを得ない事態です。『ドラえもん』が生み出した世界が廃れてしまうことはきっとないのでしょうが、いつでもドラえもんは「子どもの夢」であり続けてほしいなと思います。そのためには「大人」になってしまった私は手を引くべきなのでしょうか。



それではまた。